【為替】米ドル/円、豪ドル/円はともに頭の重い展開か

05-13 陳 満咲杜

米ドル/円 当局の為替介入が成功した公算が高く、切り返しの先行があっても頭の重い展開 週間予想レンジ:153.00~156.50

※4月29日・5月6日は祝日で当レポートは休載だったため、4月29日週からの振り返りと今後の相場展望を記載します。

先週(5月6日週)は一旦切り返しを果たす

先週の米ドル/円は陽線を形成し、一旦156円手前のトライをもって切り返しを果たした。先々週の急落を一旦修正する形となり、途中の速度調整を図った模様だ。当局の為替介入が再度あってもおかしくないと思われる中、ロング筋でも高値追いに慎重になっているとみられる。

為替介入になお警戒、今週(5月13日週)は頭の重い展開か

国際投機筋は総じて円安の方向に向かっていたところ、先々週(4月29日週)の当局の為替介入により米ドルが急落、大陰線をもってトップアウトを示唆した。先週(5月6日週)の切り返しを途中調整とみなし、再度頭打ちがあれば天井を確認できる構造となるだろう。

「ミセス・ワタナベ」と総称される日本の個人投資家が為替介入を意識した逆張りに集中していたが、4月29日に一旦160円大台を突破した米ドルの吹き値にさすがに警戒感が強まったと推測される。そのため、同日の日本当局の介入は絶妙なタイミングにあったと思われるが、5月1日に再介入があり、その後一旦152円割れまでの値動きに鑑み、当局の介入が成功したと思われる。なお、156円以上に定着する値動きがあれば、当局が再度介入してくる可能性があると囁かれており、今週は頭の重い展開になりやすいとみている。

テクニカル視点:頭打ちの構造がすでに確立され、今後は介入の有無を問わず米ドルの天井を形成へ

米ドル/円の4月29日の日足は大陰線となり、また4月24日~26日の罫線と「アウトサイド」の関係を示したところ、34年ぶりの高値から一転した急落だったので、典型的な「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯した。その後4月30日の切り返しで4月29日の大陰線と「インサイド」を形成し、5月1日の大陰線をもってさらに下放れを確定したため、構造上の頭打ちを確認できたとみている。

テクニカルの視点でみると、5月3日安値からの切り返しは、単純に急落後の速度調整となった。仮にこれから日本当局の介入がもうないとしても、頭の重い展開になりやすいだろう。5月1日の大陰線を再度否定できない限り、下目線が維持されるのではないか。同日の大陰線の否定とは、米ドル/円が158.04円の上に定着するということであり、ハードルは高い。そのため、今週は戻り売りのスタンスで臨みたい。

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

豪ドル/円 基本的には米ドル/円とリンクする値動き 週間予想レンジ:100.50~103.50

先週(5月6日週)は切り返し、一旦速度調整へ

先週、豪ドル/円は週足では陽線で大引けしたものの、先々週の急落に対する速度調整とみなし、米ドル/円と同様、すでに頭打ちの構造が確立されたため、これから頭の重い展開になりやすいだろう。

今週(5月13日週)は頭の重さを再度確認、天井の形成に寄与

豪ドル/円は基本に米ドル/円に連動した値動きだった。国際投機筋は総じて円安の方向に向かっていたところ、先々週の当局の為替介入により円が急速に買われ、大陰線をもってトップアウトを示唆した。先週の切り返しは途中調整とみなし、再度頭打ちされた場合、天井の構造を形成していくだろう。

日本の個人投資家が、この前為替介入を意識した逆張りに集中し、米ドル/円だけではなく、豪ドル/円でも逆張りしていたと推測される。米ドル/円が4月29日に一旦160円大台を突破した際には、豪ドル/円は、105円に接近した。なお、米/ドル円が156円以上に定着する値動きがあれば、当局が再度介入してくる可能性があるだろう。そのため、豪ドル/円も米/ドル円と同様に今週は頭の重い展開になりやすいとみている。

テクニカル視点:切り返しの先行があっても頭が重いのであれば、中長期の天井を形成へ

豪ドル円の4月29日の日足は大陰線となり、また4月24日~26日の罫線と「アウトサイド」の関係を示した。高値から一転した急落だったので、典型的な「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯した。その後4月30日は値幅限定の値動きとなり、4月29日の大陰線と「インサイド」を形成、5月1日の長大線(陰線)をもって更に下放れを確定したことにより、構造上の頭打ちを確認できた。

単純にテクニカルの視点でみると、5月2日安値からの切り返し、単純に急落後の速度調整となる。仮にこれから日本当局の介入がもうないとしても、頭の重い展開になりやすい。4月29日の大陰線を再度否定できない限り、下目線が維持されるだろう。同日の大陰線の否定とは、豪/ドル円の105円の再打診という意味なので、ハードルはかなり高いと考えられる。そのため、豪ドル/円も今週戻り売りのスタンスで臨みたい。

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成 
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