【米国株動向】バフェット氏がアップル[AAPL]株を売却した理由

06-06 モトリーフール

モトリーフール米国本社 、2024年6月4日投稿記事より

バークシャーがアップル株の保有を縮小

アップル[AAPL]は、21世紀に入って最も高いパフォーマンスを上げている銘柄の1つですが、最近は精彩を欠いています。年初来の上昇率は1%にも届かず、11%近く上昇しているS&P500種指数を大幅にアンダーパフォームしています。

人工知能(AI)をめぐる熱狂を受けて、過去1年半の間に株価が急騰している大手ハイテク企業がある一方で、アップルは最新のテクノロジートレンドから取り残されているようです。同社売上高の大部分を支えてきたiPhone市場が成熟するにつれて、四半期決算も売上高の伸び悩みを示唆しています。

さらに、アップルは最大の支援者の支持を失いつつあるようです。ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ[BRK.B]は2023年第4四半期に続いて、2024年第1四半期にもアップル株の持分を縮小しました。第1四半期には1億1600万株を超えるアップル株を売却し、ポジションを13%減らしました。株価の下落も重なり、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオに占めるアップル株の割合は、2023年第4四半期末時点の50%超から、2024年第1四半期末時点では41%を割り込むまで低下しています。

アップルを見限ったのか

バフェット氏は自身が売買する銘柄について、他の著名投資家よりもオープンに語りますが、バークシャー・ハサウェイの株式売買については依然として推測の域を出ていません。5月上旬に開かれた年次株主総会で、バフェット氏はアップル株の売却について質問されました。回答の中で同氏は、売却は、キャピタルゲイン税率が変わる可能性があり、その前に利益の一部を確定させたためであると説明しました。

バフェット氏はキャピタルゲイン税率について話す中で、「2024年は21%が適用されているが、今後は若干上昇する見通しである。2024年にアップル株を一部売却しても気にする必要はない」と株主に向けて語りました。

しかし、バークシャー・ハサウェイがアップル株の一部売却を決めた理由は、これだけではないと思われます。バフェット氏は長年にわたってアップルについて繰り返し称賛し、保険事業とBNSF鉄道事業に次ぐバークシャー・ハサウェイの第3の事業だと考えていると述べてきました。にもかかわらず、バークシャー・ハサウェイは持分を調整しています。アップルの最近の決算内容に、株式売却の理由が隠れているかもしれません。

2024年度(9月期)第2四半期の売上高は、前年同期比4%減の908億ドルでした。iPhone売上の落ち込みと、中国で直面している課題が原因です。サービス事業は成長を続けていますが、これまでの成長戦略を維持できるほどの急成長ではありません。アップルが成長を取り戻すには、製品を売る必要があります。成長が鈍化する中、1株当たり利益(EPS)は実質的に横ばいで推移しています。EPSの伸びは、大規模な自社株買いとサービス事業の成長による利益率の上昇が主な要因です。

アップルはAIに積極投資せず

バークシャー・ハサウェイがアップル株を売却した理由の1つとして、アップルの競争優位性がかつてほど強くないことが考えられます。アップルにとって脅威となる新たな競合企業はいませんが、同社は多くの面で自社との競争に直面しています。

新しいスマートフォンやデバイスを発売しようとしたら、消費者が買いたくなるような、従来モデルよりも明らかに優れた商品でなければなりません。アップグレードサイクル、すなわち消費者が新しいiPhoneを買うまでの時間は長期化しており、iPhone売上の圧力になっています。

アップルは2024年後半に次世代のiPhone 16を発売する予定ですが、消費者の間では新型iPhoneに対する疲労感があり、投資家はアップルには新たな成長ドライバーが必要だと考えている可能性があります。また、マイクロソフト[MSFT]やアルファベット[GOOGL]といった大手ハイテク企業がAIに本格的に取り組む中、アップルはAIへ積極的に投資しておらず、今後数年間は明らかに遅れを取るとみられます。

さらに、従来のバリュエーション指標に基づくと、アップル株には依然として割高感があります。株価収益率(PER)は30倍であり、売上高が落ち込んでいる企業としては明らかに割高です。アップルはいずれ、力強い売上成長を取り戻すかもしれませんが、現時点では、事業の低迷を受けて株価が下落するリスクがあります。

これは、バフェット氏がアップル株を売却した本当の理由ではないかもしれませんが、他の株主がアップル株を売却するには十分な理由です。アップルは本業で苦戦しています。AI競争でも遅れており、バリュエーションは割高です。バフェット氏でなくても、これらはすべて、アップル株の売却を検討する理由になり得ます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアルファベット、アップル、バークシャー・ハサウェイ、マイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は以下のオプションを推奨しています。マイクロソフトの2026年1月満期の395ドルコールのロング、同2026年1月満期の405ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。

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