【米国株動向】株式分割後のエヌビディア[NVDA]をめぐる2つの好材料と1つの懸念

06-18 モトリーフール

モトリーフール米国本社 、 2024年6月16日投稿記事より

130ドルで購入可能に

個人投資家にとって、株式分割は魅力的なイベントです。エヌビディア[NVDA]の株式が「わずか」130ドルで買えるようになったことで、非常に多くの個人投資家が同社に関心を寄せています。

確かに、株式分割で株価は安くなったように見えますが、企業に対する評価(売上高や利益などに対する市場の評価)が変わったわけではなく、時価総額(発行済み全株式の評価額を合計したもの)も変わりません。現在、エヌビディアの時価総額は3兆2000億ドルであり、アップル[AAPL]に僅差で続く世界第3位となっています。

時価総額がこれほど膨らんでいるエヌビディアで、これから投資を検討する価値はあるのでしょうか。以下では、エヌビディアをめぐる2つの好材料と1つの懸念材料について説明します。

好材料1:人工知能(AI)業界に成長余地

オープンAIが生成AIチャットボット「ChatGPT」で世界を席巻して、まだ2年ほどしか経っていません。アナリストはAI業界の可能性について、熱に浮かされたように楽観視しており、ブルームバーグ・インテリジェンスの予測によると、AI関連の市場規模は2032年までに1兆3000億ドルに達する見通しです。

この予測が正しければ、高度なアルゴリズムの訓練と実行に必要な特定の種類の強力な画像処理装置(GPU)のトップメーカーであるエヌビディアにとって大きなチャンスです。現在、このホットな分野は需要が供給を上回っており、エヌビディアはそこで80%を超える市場シェアを占めています。

エヌビディアは、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]やインテル[INTC]といったライバルの半導体メーカーとの競争の激化が予想されます。一方で、自社のハードウェアで使用されるために専用に作られたコンピューティング・プラットフォームとプログラミング・インターフェースであるCUDA(Compute Unified Device Architecture)などのソフトウェア・ソリューションを提供したり、製品を常に改良することによって、市場シェアの維持を図っています。ジェンスン・ファンCEOによると、同社は今後、従来の2年に1度のペースから加速させ、改良された新しいAI向け半導体シリーズを毎年発表する予定で、ライバルの追随は一段と難しくなるとみられます。

好材料2:株価は割高ではない

エヌビディアの株価は過去5年間で3,000%超上昇していますが、業績の目覚ましい成長を考えると依然として妥当な水準にあると言えそうです。

予想株価収益率(PER)は48倍であり、アドバンスト・マイクロ・デバイシズの47倍など、他のAI関連ハードウェア銘柄と比べて格段に高いことはありません。なお、第1四半期の売上高を比較すると、アドバンスト・マイクロ・デバイシズが前年同期比で2%の伸びだったのに対し、エヌビディアは262%増でした。

このバリュエーションは、エヌビディアの株価に上昇余地があることを示唆しています。しかし、投資初心者が注意すべき大きなリスク要因が1つあります。

懸念材料:シスコシステムズ[CSCO]との不気味なほどの類似点

シスコシステムズ[CSCO]は、1990年代後半にインターネットを構築する上で必要なルーターやスイッチを販売していたコンピューター・ハードウェア企業です。投資家にとってシスコシステムズは、革新的で新しい産業に投資する「ピック&ショベル」アプローチに最適な投資先でした。ハイテクバブルがピークとなった2000年に、シスコシステムズの時価総額は5000億ドルに達しましたが、その後バブルが崩壊すると、株価は2年間で88%下落しました。株価は依然として当時付けた最高値を回復していません。

エヌビディアは現在、AI分野において似たような役割を担っており、もし成長率や価格決定力が何らかの打撃を受けた場合、シスコシステムズに起こったように、バリュエーションが一気に暴落する可能性があります。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Will Ebiefungは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ、シスコシステムズ、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、インテルの株式、および以下のオプションを推奨しています。インテルの2025年1月満期の45ドルコールのロング、同2024年8月満期の35ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。

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