パステル画にのせた不思議な旅 10月大阪で「猫のダヤン」展 新作原画9点も

09-17 admin

「月に聞かせる音楽会」 ©Akiko Ikeda/Wachifield Licensing, Inc.

絵本を中心に活躍する作家、池田あきこさんによる猫のキャラクター「ダヤン」を中心とした展覧会「猫のダヤン40周年 ダヤンの不思議な旅 池田あきこ原画展」が、10月11日から27日まで大阪市浪速区の「なんばパークスミュージアム」で開催される。ダヤン誕生40周年を記念した本展では、初期から描き続ける「パステル画」と池田さんのライフワークである「旅」を軸に、ダヤンと池田さんが二人三脚で歩んできた歴史をたどっていく。

「不思議な国を作る優秀な水先案内人。とても融通が利く、強い主人公です」。ダヤンについて、池田さんはこう表現する。ワニやウサギなどをモチーフにした少し変わったキャラクターたちが暮らす不思議な国《わちふぃーるど》の主人公だ。もともと革細工の職人である池田さんが昭和58年、母親と立ち上げた工房のシンボルキャラクターとしてダヤンが誕生。ダヤンを中心に個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語は、絵本や画集、長編物語、旅のスケッチ紀行など多岐に渡って展開されている。 

幼少期から本と旅が大好き。本を通じてさまざまなイメージを膨らませた池田さんは「いつか自分でも不思議な国を作りたい」と強く思うように。ダヤンという主人公をきっかけに「まるで待ってくれていたかのように」物語があふれだし、その願いが結実した。

作品の前で笑顔を見せる池田あきこさん

ヨーロッパから北極まで。旅を続けるのは、「地球が均質化しているからこそ、その土地にしかないものを感じたい」から。さまざまな生き物が共存する《わちふぃーるど》でも、「『違う』ということを大事にしている」と話す。それは受け手の感じ方も同じ。あえて「ダヤンはこういうもの」と決めつけず、各人に見え方を委ねる〝融通〟が、ダヤンの人気のひとつだろう。

周年ごとに原画展を開催してきたが、今回のテーマは「パステル回帰」。筆やパレットを使わずに、自身の指で色を伸ばすパステルで初めて大作「ポーズ・ダヤン」を描いたとき、「画材と身体が近いパステルは扱いやすく、これだと思った」と振り返る。思わず吸い込まれるような繊細なニュアンスを表現できることにも感動した。その後、切り絵など様々な画材にも挑戦してきたが、尊敬する他の作家らの作品に触れるうち、「同じことを続けていくことで、確固たるものを作り上げている」と改めて認識。「私の確固たるものってなんだろう」と自身を見つめ直し、原点であるパステルへ立ち戻ることを決めたという。

革工房のシンボルキャラクターとして描かれた初期の作品「ポーズ・ダヤン」 ©Akiko Ikeda/Wachifield Licensing, Inc.
大阪会場で初公開されるパステル画の新作「ダヤンと猫の島のなまけものの木」  ©Akiko Ikeda/Wachifield Licensing, Inc.

本展では初期作品から新作までの約130点が一堂に揃い、うち9点はパステル画の最新作で、大阪会場で初公開される。「開けっぴろげで人に親切。でも、どこかに猜疑心を隠し持っているような…。そんな地中海的な気質で大好き」という大阪での原画展は、約5年ぶり。「人って、本当にみんな違う。それを大事にしたいよね、ということを《わちふぃーるど》を通じて、感じていただければ」(尾大香織)

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